JFLF AWARD 2019 最終選考会レポート
2019年度の助成対象デザイナーが決定!
-作品を通じてデザイナーの未来を考える‐
2020.03.18
セミナーレポート
2018.03.01
昨年12月、小林麻美さんによる「昨日の自分より今の自分 小林麻美の素敵な時の重ね方」と題されたセミナーが開催されました。現在、日本服飾文化振興財団の評議員を務め、自身が所有する約180着もの〈イブ・サンローラン〉のヴィンテージコレクションを財団に寄贈された小林さん。セミナーでは、時間を重ねると共に自分自身をアップデートすることの大切さ、そしてこれからの生き方について語って下さいました。そんな小林さんのスタイルを通して"素敵な時の重ね方"について一緒に考えてみましょう。
- 小林さん、本日はどうぞよろしくお願いします。
小林: 今日は寒い中、たくさんの方がお越しくださって、本当にありがとうございます。こうしてセミナーとして人前でお話をするのは初めてなんですが、楽しい時間にできたらと思ってます。
- まずはじめに、小林さんはこれまでの人生で映画と深い関わりを持たれてきたと伺っています。いつごろから、どんな映画を観てきたのですか?
小林: そうですね。小学生の頃から映画が大好きで、中学生になると、週末は毎週のように映画館をはしごして1日3本くらい観ていました。いろんな映画を観ていたんですが、当時は洋画がメインでした。フランス映画とか、子供には理解できないような難しい作品も。友達が一緒に来てくれなくて、ひとりで銀座の映画館をあちこち行ったり来たりしてましたね(笑)。
- 芸能界に入ったのも映画がきっかけなんですね。
小林: そうなんです。銀座のみゆき座で『ローズマリーの赤ちゃん』という作品を観に行ったときでしたね。ホラー作品で怖くて全然目を向けられなかったんですけど、そこでプロダクションの方に声をかけられたのがきっかけです。
- 女優人生の起点が映画なんですね。芸能界に入るきっかけ以外にも、映画からいろんなことを学び、特に女優さんの着こなしには大きな影響を受けていらっしゃるそうです。印象に残る作品がたくさんある中で、今回は2つに絞っていただきました。まずひとつ目は『サブウェイ』のティアードスカートということですが。
小林: この作品にはイザベル・アジャーニという大好きな女優さんが出演していて。彼女がはいていた〈イヴ・サンローラン〉のスカートがものすごくキレイだったんです。同じものが欲しくて探したんですけど日本にはなくて、海外から取り寄せてもらいました。
- どこがお好きですか?
小林: このスカートにはシルクタフタがふんだんに使われていて、体が動くたびにヒラヒラと揺れて本当にきれい。〈イヴ・サンローラン〉の魅力をよくわかってもらえる服だと思います。
- 続いてもうひとつが『相続人』の白いコートですね。
小林: これはもう40年ほど昔の服なんですが、私がまだ10代のときに買った〈イヴ・サンローラン〉の白いコート。『相続人』の中で女優さんが着ているのを見てすぐにお店に買いに行ったのを覚えています。
- 小林さんは19歳から〈イヴ・サンローラン〉を着ていらっしゃって、これはその当時の服なんですね。
小林: 今考えたらまだ早いのかもしれないのですが、当時は映画からインスピレーションを得ていて。欲しい! と思って探して、ようやく見つけた服なんです。10代だから似合ってなかったと思うけど、でもやっぱり素敵ですよね。
- 現在はインターネットを利用すればいろんな情報が手に入ります。当時とは状況が違いますよね。
小林: そうですね。その当時はインターネットなんてありませんでしたから。映画が私の情報源であり、インスピレーション源でした。
- では続いてファッションのお話をお伺いしたいと思います。まず好きなアイテムですが、トレンチコートがお好きとお答えいただいています。現在何着くらいお持ちですか?
小林: 今は4着ですね。フレアシルエットになっていたり、柔らかい生地のものであったり、あとは定番ですけど〈バーバリー〉のトレンチコートもあります。
- 財団に寄贈いただいた〈イヴ・サンローラン〉のトレンチコートは、ずいぶんこなれた質感に見えます。
小林: もう20年か30年近く着たので自然とこなれた風合いになり、自分の中ではヴィンテージになった感じですね(笑)。昔はトレンチコートを買うと、わざと洗濯機に入れて、その後に乾燥機にもかけたりしていました。そうすることで着古して馴染んだ感じにしていたんです。
- 小林さん流の着こなしのテクニックのひとつであると。
小林: そうかもしれません。馴染んだ雰囲気のほうがしっくりくると思って。
- 次に好きな色を教えて下さい。ネイビーがお好きだと事前に伺っていますが、シックな色がお好みということなのでしょうか?
小林: ネイビーも好きですし、ブラックも好きですね。この会場に展示してあるのは私が30年ほどかけて集めた服を寄贈したものですが、好きな色って決まっているのかなっていう感じですね(笑)。
- 今街を歩いていると、イエローであったり、ピンク、レッド、グリーンなどなど、色鮮やかな服を目にすることが増えましたが、そういった色を着られることはありますか?
小林: 外に着て行くということはあまりないですね。ピンクのセーターも持っていますが、目で楽しむ色なのかなって私は思っています。クローゼットに入れたままでも、見て元気が出る色といいますか。
- さて、続いて着こなしに関してもお話を伺います。今小林さんが大事にされているのが“ハイ&ロー”のバランスということなんですが、これはどういうことなのでしょうか?
小林: 実は今日もそうなんですが、着ているシャツはフランスのシャツメーカーのアイテムで、スカートは日本のファストファッションブランドのもの。このスカート、すごく気に入っているんです。
- ファストファッションのブランドだと言われなければ気づかないですね。
小林: それぐらいデザイン性が高くていいものがあるんですよ。なので最近はファストファッションのお店ものぞくようにしています。でも、この年齢になるとさすがに全身ファストファッションというわけにはいかないですから、クオリティーの高いものも合わせるようにしています。
- 今の気分の取り入れ方について、小林さんは今“ふわりと着たい気分”と伺っています。その気分について具体的に教えていただけますか?
小林: 例えばシャツなんかでも、トラディショナルなスタイルの背筋がピンと伸びるようなアイテムだったり、今私が着ているようなオーバーサイズのシャツなどいろいろありますよね。もちろん私はどちらも好きなんですが、今の気分はこういったふわりとしたタイプが好み。そのときの気分に合わせてサイズ感やシルエットに気を配ることが大事だと思います。
- そういったサイズ感を楽しむ中で、ひとつのアイテムに対してサイズ違いで購入されることもあるんですよね?
小林: そうですね。先日とあるショップで素敵なVネックのセーターがあったのでサイズを見てみたらXLでした。店員さんに聞いてもそのサイズしかないそうで、大きいかなと思いつつ試してみたら、意外としっくりきて。「私、XLも着られるんだ!」って、そのとき思ったんです。結局そのお店ではクルーネックのセーターも購入して、そちらはLサイズとMサイズにしました。
- なるほど。
小林: つまり用途によってサイズ感を変えるということを最近しているんです。服はサイズによって見え方が変わってきますよね。自分はこのサイズだ! と決めつけずに、サイズを変えてシルエットの違いを楽しむことも大切なのではないかと思います。
- 大人が気持ちよく着られるサイズが大切ということですね。
小林: そうですね。おなじMサイズでも、ブランドによってサイズ感が変わってきますし、自分の体型に合わせて柔軟にトライすることが大切かなと思います。
- サイズのバリエーションがあるブランドだと、利用しやすいですよね。
小林: お店によってはワンサイズしか扱っていないところもあって、残念に思うことも多いですね。最低でもSからLサイズまでは取り扱ってほしいなぁと思います。
- グローバルなブランドだと、XSからXXLまで取り扱っているところもありますよね。
小林: それだけ幅があると、いろいろ試しやすいし、自分に合ったサイズを探しやすいですよね。だから日本のブランドやお店にも、ストレスなくサイズを選べるお店が増えてくれるとうれしいですね。
PROFILE
小林 麻美
Asami Kobayashi
1970年代からモデル、歌手、女優として活躍。資生堂やパルコのCM、ヒット曲「雨音はショパンの調べ」などで、スタイリッシュな女性の代表格的存在となる。1991年結婚を機に引退。2016年『kunel』で25年ぶりに表紙を飾る。現在、公益法人日本服飾文化振興財団評議員。
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